Asanaの特性とはなんだろうか – どういう会社に向いているのか

2024.05.29
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KIMURA / Engineer

見慣れないツールやアプリを見ると、それが自分に合っているのかどうか参考記事を眺めながら判断することが多いと思います。しかし、参考記事は一人の主観に依っています。なので、自分に合うツールを見つけるには、すべてのツールを自分で使って判断するのが一番正確と言えます。

しかし、正確に自分が使っているツールが他のツールと比べて自分の業務にどれだけ合っているかを測るのは難しいかもしれません。いろんなツールを判断できるまで使ってみるのは難しいです。(お金もかかりますし)

私はAsanaというツールを使っていますが、全体を総合的に評価したことも他のアプリと比較したりしたこともありません。そこでAsanaに関する研究を見ることで、より客観的な視野からAsanaの評価を見てみようと思いました。

図1. Asanaのカンバン画面の様子

図2. Asanaのタスク管理画面の様子

Asana略史

Asanaは元Facebookエンジニアのダスティン・モスコビッツジャスティン・ローゼンスタインによって開発されました。Asanaの目的は周辺業務(”Work for Work”)の煩雑さをなくし、自分の本来の業務に集中することです。Asanaという言葉はヨガのアーサナという、体を中心に保つポーズを示しています (Petty, 2022)。

この開発目的通り、タスク管理に特化したツールとして知られています。

他ツールとの比較 – 市場:

いったんどのような競合ツールがあるのかを見てみます。

図2. プロジェクト管理ツールの市場シェア率, Datanyze (2024, https://www.datanyze.com/market-share/project-management–217)

図2はプロジェクト管理ツールのシェア率を円グラフにしたものです。267あるプロジェクト管理ツールのうち、シェア率は順にJiraが24.18%Microsoft Projectが13.93%Airtableが7.63%と続く中、Asanaは6位で3.56%です(Datanize 2024-5-20参照))。

おそらく高シェアを占めるツールはいずれもある程度使いやすく機能的であることが予想されます。その中でもどのような方向性の違いがあるのかを掴むために、詳細な研究を見てみます。

Asana研究の概況と注意点:

Asanaの事例研究はそれほど多くありません。そのためいくつかの研究を総合する形を取ります。統計的証拠能力は薄く、事例研究自体主観的な評価を伴うものが多いです。なので個人の感想や不確かな憶測が含まれる表現になりますがお許しください。(それでも一人の人の感想よりはだいぶ客観的になるはず…)

今回はAsanaが対象に含まれる事例研究・分析のみを対象としているので、興味がある方々はご自身のツールについても調べてみてください。

他ツールとの比較 – 機能:

Marques & Bernardino (2022)はOSSpalという分析方法によりAsanaOdooProjectLibreを比較しました。Asanaのスコアが3.4なのに対しOdoo4.4ProjectLibre3.6でした。この分析では機能性とソフトウェアの操作特性に特に重みづけをしており、Asanaの機能性は5段階中1でした。大きな理由としてプロジェクトのデータ集計・分析能力が皆無であること、タスク依存がないこと、コストが挙げられています。しかしUIについては高評価であり、ProjectLibreの古めかしいUIと比べると扱いやすいと言及されています。

分類 Asana Odoo ProjectLibre
機能性 1 4 3
ソフトウェアの運用特性 5 5 4
情報体系化 4 4 4
サポート 4 4 3
ソフトウェア技術特性 4 5 4
コミュニティーと導入 4 4 4
開発プロセス 5 5 4
最終成績 3.4 4.4 3.6

表1. OSSpal方法論を用いた分析結果, Marques & Bernardino (2022).

Harutyunyan (2022)はJiraTrelloAsanaに対し聞き取り調査を行い下記のような欠点を発見した。

Jira ・習熟が難しい

・仕事全体のプロセス把握が難しい

・柔軟性の欠如

・運営との連絡が取りにくい

Trello ・報告が少ない

・課題にかかった時間の調査ができない

・単一な外部環境

・スクラムチームへの適用性の低さ

Asana ・時間管理が難しい

・Excel出力ができない

表2. Jira, Trello及びAsanaの聞き取り調査における短所の報告, Harutyunyan (2022).

上表ではAsanaの短所の指摘項目は少なくて重要性も低いです。この指摘の少なさの理由として先ほどのMarques & Bernardino (2022)で言及されていた、シンプルなUIと良好なサポート体制があると考えられます。すなわち、Asanaは使用者に満足されるような特性を持ち合わせているかもしれません。対照的に、Jiraは初心者に対する導入の難しさとサポート体制の難しさが際立っています。

Кадиров & Меркушова (2015)は効率のいいプロジェクトのための4つの段階として知られている目標設定・プラン策定・目標への進行管理・結果の評価の各段階において、Asanaでは素早く透明な操作が行えるとしています。マネージャーや開発メンバーといった異なる立場から同じプロジェクトを管理する時に生じる齟齬の発生を、操作しやすいUIによる素早い操作操作の透明性により軽減することができるかもしれません。

Кадиров & Меркушова (2015)はまたAsanaSlackTrelloを比較しどの要素集合体(integration)に対応するかを纏めています。対応しているといっても、それぞれの要素集合体(いわゆるツール)の方が特化しているといえるため、あくまで参考程度で捉えてください。

要素集合体 機能割り当て 可能なツール
DropBox ファイルのバージョン管理と共有。携帯からの操作。特定のグループでのファイルアクセス管理。 Asana・Slack・Trello
Google Drive
Box Slack・Trello
Google Docs 書類・表・プレゼンテーションの無料編集。Google Drive内で直接編集と作成ができ、メール等の様々な形式で配布可能。 Slack・Trello
GitHub 集合的なソフトウェア開発とホスティングのためのサービス Asana・Slack・Trello
OKTA パスワード・アクセス管理。IDとパスワードを社員に与えてそれを柔軟に管理する。 Slack・Trello
Mail Chimp メール配信サービス。メールマーケティングに使用される。顧客とのメールによる相互作用に使われる。 Asana・Slack・Trello
Evernote いかなるデジタルコンテントも扱えるシステム手帳。 Asana・Slack・Trello
Salesforce 販売分析から広告会社管理までに至る広範な機能を持つ顧客関係管理システム。 Trello
HangOuts Googleのビデオ通話管理。バーチャルチームのためのビデオ会議の開催。 Slack・Trello
Google Calendar 勤務時間管理のためのカレンダー。仕事を登録すると同僚が閲覧でき、忙しさを把握することができる。 Slack
Zendesk 自動化可能なチャンネルを通じた顧客のサポートが効率よく行える。 Slack

表3. いくつかの要素集合体の特性, Кадиров & Меркушова (2015).

要素集合体はAsanaの足りない部分を補完するのにうってつけです。例えば、Slackはコミュニケーションツールとして知られています。タスク管理にはそもそも向いていないが、Asanaにはない機能を搭載しています(例えばZendesk的機能です)。こういった機能は、朝礼やフィードバックのように頻繁に連携する必要がある場面で必須といえます。つまり、Asanaを使う際にはSlackなど、人員連携の部分で他のツールを使う必要があるでしょう。

複数のアジャイル開発ツールを比較した横断的研究では下表のような結果が得られています。ここではJiraを多人数向け、Asanaを少人数向けとしています (Domansky et al. 2021)。

ソフトウェア モバイルアプリ カンバン製作 UIの設定や変更 バックログ 進捗確認 基礎知識の共有 無料版の有無
Jira + + + + + + +
Trello + + + +
Hygger + + + +
MeisterTask + + + +
Favro + + + + +
Asana + + + + + + +
Kanbanchi + + +
Paymo + + + + + + +
Breeze + + + + + + +
ProofHub + + + + + +
Taiga + + +
ZenHub + + + + + +
Leankit + + +
YouTrack + + + + + + +

表4. アジャイルツールの機能分析, Domansky et al. 2021.

比較されているツールの内シェア率が高いものはJiraTrelloです。シェア率1位のJira瑕疵が見当たらないのに対し、Trelloにはアジャイルツールとしての不完全さがあることが表現されている。またAsanaもJira同様、アジャイル向け機能を搭載しています。

考察

Asanaは周辺業務の管理を楽に行うという思想の下に、使用者の指摘や反応を取り入れながら開発されました。2023年2月には、アップデートが行われ時間管理に関する機能が追加されています。事例研究で指摘されていた欠点の内、小さな欠点はこのように改善が期待されます。
使いやすさやサポート体制といった項目の充実度が高いといえます。こういった項目は使用者の満足度を高めていると推測されます。また、タスク管理などのミクロなレベルの管理機能が高く評価されています。これにより周辺業務の管理が容易になり、業務効率を上げることができるでしょう。
それに対し、データを集計したりプロジェクトの全体像を把握するなどのマクロな管理機能はないものと評されています。大きなプロジェクトを扱う場合には他ツールを検討する必要があるでしょう。またタスク依存の管理に於いてAsanaが弱いことがたびたび指摘されているため、小さなプロジェクトであっても作業群の構造化が必要であれば補助ツールの導入が必要だと推測されます。
Jiraと比較するとAsanaは少人数向けであるといえます。
総合して考えると、別ツールを用いた透明かつ扱いやすい連絡ツールやチャンネルの活用といった補助体制がしっかりしている前提において、Asanaは小さなプロジェクトに対する適合度が高いといえます。下記にAsanaの利用凡例を表して擱筆といたします。

プロジェクト規模 プロジェクト管理ツール
小 (タスクが個人完結) Asana
小 + チーム単位のタスクや交流 Asana + 交流ツール
小 + 流れ図の作成など作業の構造化 Asana + チャート作成ツールなど
中以上 Jiraなど

表5. Asanaの利用方針例.

参考文献

  1. Datanyze, Project Management Software Market Share. https://www.datanyze.com/market-share/project-management–217 (2023-6-2 参照).
  2. Domansky, V. O., Tarkhanova, O. V., Pelevin, M. D. (2021). Analysis of the Capabilities of Mobile Agile Solutions for Effective Project Activities. Архитектура, строительство, транспорт. 3(97). 93-105. https://doi.org/10.31660/2782-232X-2021-3-98-105.
  3. Harutyunyan, G. S. (2022). Practice of Project Management Technical Tools in RA IT Companies. Регион и мир, 3. 163-167.
  4. Кадиров, Н.Т., Меркушова, Н.И. (2015). Влияние программного обеспечения на практику и эффективность организационных коммуникаций. Креативная экономика, 9(12), 1561– 1578. https://doi.org/10.18334/ce.9.12.217.
  5. Marques, J. F., Bernardino, J. (2022). Evaluation of Asana, Odoo, and ProjectLibre Project Management Tools using the OSSpal Methodology. Proceeding of the 11th International Joint Conference on Knowledge Discovery, Knowledge Engineering and Knowledge Management (IC3K 2019), 397-403. https://doi.org/10.5220/0008351903970403.
  6. Petty, J. (2018, August 4). A History of Asana. Generation Digital Limited. https://www.gend.co/blog/a-history-of-asana (参照 2023-6-2).
  7. Хорошилова, О.В., Журавель А.Ю. (2017). Характеристика информационных технологий, используемых в управлении проектами. Территория науки, 5, 134-141.
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